VOICE OF LAKES #2 ディオニシオ・ゴメス選手
「VOICE OF LAKES」の第2回は、レイクス3年目のディオニシオ・ゴメス選手です。
インサイドの要としてだけでなく、チームの大黒柱として心友・小川伸也キャプテンとともに選手をまとめるニチィ。柔和な笑顔を絶やさない普段とは異なり、コート上でときに雄叫びを上げながらゴールへと向かうファイターが、抱き続けている思いとは…。
Q ブースターを有明に連れて行くという悲願達成のため滋賀へ戻り、プレイオフ進出が決まった今の心境は?
A プレイオフ進出が決まったことは確かにうれしいが、自分たちにとって大事なのはそこではない。最終目標は、やはりチャンピオンシップ。有明に行って勝ち上がることなので、今は一つのステップを踏んだに過ぎないね。
Q ゴメス選手が経験した過去のプレイオフを振り返り、1年目は自身のけが、2年目はチーム内で故障者が続出するなど、不運の連続でしたよね。今季、現在のチーム状態はいかがですか?
A 勝ち負けの記録だけを見れば、過去2シーズンよりも現状は悪いかもしれないが、大切なのはプレイオフで勝つこと。けがなくチーム全体が健康な状態で戦える準備をしておくことが一つの大きなカギであり、相手チームに脅威を感じさせることにもつながると思う。
Q プレイオフで今まで以上のステップアップを図るために重要なことは?
A それは、チームとして勢いを持って臨めるかどうか。昨季の京都を振り返っても、今の滋賀のようにシーズン中は苦しんでいたけど、最後勢いに乗ってプレイオフに入り、有明へと到達した。短期決戦のプレイオフでは、勢いのあるチームが次に進む力を持っている。だからこそ、プレイオフ直前の残り4試合が大事。勝ち切ることでいい勢いを持ってプレイオフに臨みたいね。
Q その残り4試合のポイントは?
A やはりディフェンス。島根はプレイオフ進出を逃し、ある程度リスキーなことも思い切ってやれてしまうし、1試合でも勝ちたいだろうからプレッシャーなくプレーしてくるはず。一方、我々は4試合とも絶対に勝たないといけないプレッシャーがある。たとえ得点が伸びなくてもディフェンスに徹すれば勝てるという認識を試合中にもチームでしっかりと共有できれば、ある程度プレッシャーからも解放されると思う。一般的に言われているように、チャンピオンシップを取るためにディフェンスが重要だというのは事実。ディフェンスからリズムを作っていかないといけない。
Q 練習時にディフェンスのヘルプの入り方など、ゴメス選手が日本語を駆使して各選手と確認している場面が多く見られますが。
A 特にディフェンスは、選手同士が話をしてコミュニケーションを取りながら連係して行う必要があるからね。メンバー全員が試合に出る可能性のあるチームだからこそ、誰一人欠けることなく共通意識を持ってディフェンスできるかどうかにかかっている。だから練習中もバスケ用語(英語)とチームメートから教わった日本語をつなぎ合わせた言葉で、積極的にコミュニケーションを取って共通理解を深めるようにしているんだ。
Q 一人の選手として今季にかける思いはありますか?
A 今季に限らず、滋賀に来たときから毎シーズン、有明でチャンピオンシップを取りたいと、ずっと思ってきた。11年間と長くプロを続けてきて、いろいろな国でプレーする中でトーナメント優勝などもしたけれど、シーズンを通しての優勝はまだ経験したことがない。ブースターを有明に連れて行って優勝するために、自分が貢献できることは全てやろうと思っているだけ。
Q どうしてそこまでチームに貢献することだけを考えられるのですか?
A なぜならチーム競技だから。どういう形であろうとチームがチャンピオンシップを取れば、自分もチャンピオンシップを獲得したことになるし、チームにかかわる全ての人が恩恵に浴せる。しかし、いくら自分の得点が高く、プレー時間が長くても、チームが負ければ何の意味も持たない。となれば、チームを最優先に考えることが勝つための最善の道で手段だというのが、プロ生活で見出した自分の哲学でもある。
Q 常に自らを律して競技と向き合っている印象が強いのですが、自分自身を甘やかしたりするときはないのですか?
A もちろん人間なので、みなさんが仕事へ行きたくない日があるように、しんどいなと感じる日はあるよ。でも、そういう日こそ、早めに家を出て練習場所へ向かったり、切り替えるようにしている。自分が休んでいる間に他のチームが練習しているかもしれないし、その間に差がついたら嫌だしね。負けず嫌いなので、最終的には「よし、行こう」ということになる(笑)
Q 家族5人が揃って滋賀で過ごせることは心強いですか?
A 離れているときと比べて心配する要素が減ったという点では、ストレスも軽減されてありがたいことだと思う。でも、家にはバスケの問題を持ち込まないし、家であったこともバスケに持ち込まないよう境界線を引いているので影響はあまりないかな。家族がどこにいても大黒柱として養っていかないといけないからね。
Q.昨日小川選手の再手術、今季全休が発表されましたが。
A.小川選手は選手として一人の人間として素晴らしいリーダーだ。彼と3シーズン共にプレイしてきてコート上でもコート外でもとても多くの時間を過ごしてきた。彼の不在はとても残念に思う。小川選手はこれからもチームをサポートしてくれるので、僕たちもできる限り彼をサポートしたい。そして一日も早く彼がプレイしている姿を見たいと思う。
Q チームの大黒柱としても頼りにし、夢の実現を待ち焦がれているブースターに向けてメッセージを。
A bjリーグを見渡せば、自分よりも能力のある選手はいるし、自分が特別いい選手だとは思っていない。その中で、チームのためにハードにプレーすることだけを考えている。シーズンを通してぶれない、そうした姿も見てもらえれば。
それに滋賀は一丸となって戦え、応援してもらえる環境・人も素晴らしいリーグ屈指のチーム。会場が多くのブースターで埋め尽くされ、選手入場のときに盛り上がる様子を見ると「よし、一生懸命プレーするぞ」と気合が入る。自分たちにプレーする力を与えてくれるブースターのみんなに継続して応援してもらえれば、チームもますます良くなっていける。なので、会場で声援を送ってもらえるとうれしいね。

練習が終わろうとした瞬間、いきなり羽交い絞めにされ、誕生日(4月7日)祝いのケーキを顔面で受けることになったゴメス選手。森田麻文マネージャーが「超いい人です」と太鼓判を押すように、チーム思いのプロフェッショナルは誰からも愛される存在。「プレー中はすごく怖い顔をしているかもしれないけど、とてもいい人なので間違わないで」と自ら言うお茶目な一面も持ち合わせるゴメス選手の魂のこもったプレーにご注目ください。
Posted by 滋賀レイクスターズ.at 2014年04月12日23:34